RICOH MULTIALARM CHRONO 840105

リコー時代の仕事をいくつか紹介してきましたが、実際には腕時計デザインがメインワークなので、デザインしたアイテムも腕時計が一番多いです。
しかし、写真もないし製品も持っていないので、あるのはカタログ写真だけ。

RICOH MULTIALARM CHRONO 840105。1980年頃の仕事だと思います。
この頃は部分的に黒いパーツを使うのが時計業界で流行っていて、プラズマ溶射とかのコストのかかる仕様もありましたが、これはアルマイトの黒を使っています。
そう言えば、ベゼルをネジで止め付けるのも流行りでしたねぇ〜。

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カタログだけじゃ情けないと思っていたら、押入れの中から忘れていた10個箱が出てきて、中に入ってました。
自分がデザインした時計は「これは最高だ、絶対に買う!」と思っているのですが、実際に発売になる頃(概ね1年後です)には、別のデザインを「これは最高だ、、、」となっているので、買うことはありませんでした。
唯一、この時計は買ったみたいで、使い倒していたようです。アルミベゼルが削れて地が出てます。
バンドはウレタンバンドが付いていたのですが、加水分解していてボロボロだったので、外してあります。
カタログのRef.No.は840005ですが、僕の持っているのは840105です。どう違うのか分かりません。

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とりあえず、電池を入れて動作するか確かめてみます。
この時計の裏蓋は「ネジリング」という方式で止まっています。通常のスクリューバックよりもコストがかかるのですが、裏蓋が回転しないので、モジュールに凹凸があるような場合に使用される方式です。
この機種の場合は、厚さを薄くするために、ピエゾ振動板を半月型にして電池を逃しているために、ネジリングになったようです。

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お〜〜っと、電池が液漏れして、緑青のような物体が発生してます。
酸化銀電池はこれがあるから嫌ですね。最近のリチウム電池は液漏れがほとんどないので、入れっぱなしで放っておけるので助かります。

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電池押さえのネジがバカになっていたので、嫌な予感がしましたが、予想通りに雌ネジが腐って溶解してしまってます。
下の写真の地板(白いプラスチック)にはまっている六角のナットから本来はネジを切った筒状のパーツが上に伸びているのですが、それがすっかり無くなっています。

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仕方ないので、赤い地板カバーに4つ付いている固定用の雌ネジを使ってみましたが、これは長すぎて使えません。横に置いてあるのが突起部分が腐り落ちた本来のパーツ。

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どうしようか、悩み悩んでリード線で導通と電池押さえ保持をやってもらうことにします。
ある程度の強度があって、かつ細かい作業が楽なリード線ということで、0.5mmのハンダを使います。もしもの時のヒューズにもなるし、、って、何アンペア流す気だよ。(笑)

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組み上げて、電池押さえにハンダを通して先をグイって曲げれば完成!

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ちゃんと動き出しました。ヨシヨシ(^_^)v

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余計なハンダを切り取って、絶縁にテープを貼って、裏蓋をはめて、、、そう言えば裏蓋パッキンが切れていたので、Oリング無しです。防水どころか防汗性すらありませんので、実用はできません。写真撮りだけです。
そして今回使っているバンドはオリジナルではありません。これはデザインがマッチするのでバンドメーカーから貰ってきたS社用の製品サンプルです。

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量産にはこのバンドが使いたかったけどSさん向けだから使えなくて、仕方なくカタログ写真のやつになったけど、全然イカさなさいバンドなので、好きじゃなかったです。なのでウレタンバンドに付け替えて使っていたのでしょう。
そのウレタンバンドも僕がデザインした奴なので、できれば紹介したいのですが、何しろ加水分解でバラバラ・・・

ところで、「RICOH 840105」で検索しても日本語のページはヒットしませんが、さすがに世界は広い。海外のマニアが「こんなクールな時計を手に入れたぜ!」って自慢しているページがありました。


Memo:裏蓋用のパッキンはAmazonで買うことができますが、¥540+送料¥216を払ってまで使うかというと、、、なので、きっとこのままでしょう。



by river_kingfisher | 2018-08-13 08:00 | 過去の仕事 | Trackback | Comments(8)
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Commented by gop at 2018-08-13 09:55 x
入社早々、Alcedoさんにベゼルに本物ビスと偽ビス(打刻)夫々が付いた同デザインの時計二つ見せられて
(たぶんこれ> http://aucfree.com/items/g226282994#)

「どこが違う?」と質問され、全く判らなかったの覚えてます(^^
Commented by river_kingfisher at 2018-08-13 18:45
>gop氏
このデザインは記憶にあるなぁ・・・でも、自分かMT氏かわかんないや(笑)
似たようなデザインばっかりやってたから。
そして、この写真のモデルのビスが本物かプレスか、今となっては良くわかんないよ。ベゼルは本物で、バンドは偽物っぽいけど…
Commented by cap65773 at 2018-08-13 19:37 x
こんばんは、国王様。「デザインしたんだぞ!」コーナー、僕には大好評です。
当事者ならではのお話が聞けて、「ふーん、そうなんだぁ。」と、楽しんでいます。
実際に販売するにあたっては、コストの問題とか強度や加工、そしてこのバンドみたいに社会の事情があるのが普通なんでしょうね。もし、デザイナーのやりたいように話を聞いてくれて、販売にまで至ることができたら・・・スカッとするでしょうね!
しかし、そんな意味でも商品を選ぶことができるユーザーが、実は一番幸せなのかなぁ?
「こうしてほしい」って製品が多くて、悔しい気分も僕らにはあるんですけどネ(カメラとか特に)。
Commented by ironsky at 2018-08-13 22:22
こんばんは。
この手の時計、一時期はやりましたね。
機能満載のデジタル時計、私も飛びつきました。

開けて、電池の液漏れで緑になっているのを見ただけで、私なら諦めます。
きちんと動かすところがすごい!!
Commented by river_kingfisher at 2018-08-13 23:52
> cap65773さん
僕はあまり仕事の資料を取っておかないので、こういった「私の履歴書」的なコーナーはきちんと書けないんですよ。でも、無いと思っていた資料が今回は結構出てきて、自分でもびっくり。
自分のやりたいようにデザインするというのは、プロダクトでは難しいですね。建築はビッグネームになればやりたい放題みたいですが・・・
時計は守らなければいけない約束事が多くて、デザイナー泣かせの品目です。時計をデザインしたことがないデザイナーさんがデザインした物を量産化するのは至難の業です。
Commented by river_kingfisher at 2018-08-13 23:52
>ironskyさん
この時のネジ流行はカルティエが創り出したと思うんですが、もともとネジで止めちゃうというのは技術的なポイントなので、どこが最初とかは言いづらいです。大流行したのは間違いないんですが…

開けて液漏れの時はそっと閉じたい気分(笑)ですが、性格的にそうもいかずがんばってみてしまいます。
液漏れ防止に電池を抜いておいた時計も有るんですが、今度は適合電池仕様が分からなくて苦労します。
Commented by river_kingfisher at 2018-08-14 15:21
>gop氏
参照してくれた機種は、僕がデザインした奴でした。
カシオに潜り込むために作った、作品集を見たら載ってたわ。
完全に忘れていた。
Commented by river_kingfisher at 2018-08-16 18:45
>gop氏
上のコメントで「参照してくれた機種は、僕がデザインした奴でした。」と書いたけど、違っていた。
てっきり同じだと思ったら、すごく似た機種があったよ。明後日くらいのエントリで書きます。
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